ガラス製の防煙垂れ壁は、経年による劣化や地震発生時の破損・落下によって、施設の安全性や営業に影響を及ぼすことがあります。実際に、大規模地震のたびにガラス製防煙垂れ壁の破損事故が報告されており、改修や交換を検討する施設管理者様も少なくありません。
このコラムでは、防煙垂れ壁の改修が必要になるタイミングから、ガラス製から不燃シート製への改修が可能かどうか、不燃シート製防煙垂れ壁「ケムストップⅡ」の特徴、既存施設への改修時に確認しておきたい注意点まで、分かりやすく解説します。
\防煙垂れ壁を改修するときのポイント/
目次
防煙垂れ壁は、建築基準法上の「防煙壁」の一種で、火災時の煙の流動を抑えるため、防煙区画を形成する役割があります。排煙設備の設置や防煙区画の必要性は、建築物の用途・規模・構造などによって異なりますが、経年劣化や地震などをきっかけに改修を検討する施設管理者様が増えています。まずは、どのようなタイミングで改修が必要になるのかを整理しておきましょう。
▶防煙垂れ壁とは?設置基準や種類について詳しく解説
従来主流だったガラス製の防煙垂れ壁は、設置から年数が経つとフレームの劣化やシーリング材の硬化、ガラス自体の傷・ヒビなどが発生することがあります。
また、内装工事や設備工事の際に、資材の搬入・搬出や作業中の接触によってガラスが破損してしまうケースも少なくありません。
破損に気づかないまま放置すると、いざという時に防煙区画としての機能を果たせない可能性があるため、定期的な点検が欠かせません。
東日本大震災や熊本地震、2022年の福島県沖地震など、大規模な地震のたびにガラス製防煙垂れ壁の破損・落下事故が報告されています。ガラス片が飛散すると、従業員やお客様がケガをするだけでなく、床の商品や設備が傷つき、営業に支障が出るケースも少なくありません。実際に、地震でガラス製防煙垂れ壁が破損・落下し、商品への被害をきっかけに改修に踏み切った店舗の事例もあります。
改修を検討する際は、まず現在設置されている防煙垂れ壁の材質・サイズ・設置方法を確認し、どの部分が防煙区画として機能しているかを把握することが大切です。あわせて、建築時の図面や確認申請書類が残っていれば、設置基準への適合状況も確認しておくと、改修計画がスムーズに進みます。
「ガラス製の防煙垂れ壁を、不燃シート製に交換できるのか」というご相談は年々増えています。結論として、条件を満たせば改修は可能です。ここではガラス製と不燃シート製、それぞれの特徴を比較してみましょう。
ガラス製は透明性が高く、空間の一体感を損なわないという意匠面のメリットがあります。
一方で重量があるため施工や撤去に手間がかかるほか、その重量を支えるために専用の下地鉄骨が必要になる点もコストや工期の負担につながります。
さらに、 地震などの衝撃で破損・落下すると、ガラス片による二次被害のリスクがある点も課題です。
不燃シート製防煙垂れ壁は、国土交通大臣認定の不燃材料でできたシートを使用した防煙垂れ壁です。ガラス製とは異なり、衝撃を受けた際にガラス片が飛散するリスクを抑えられることが特長です。 そのため、地震などによるガラス片の飛散対策としても有効です。
もっとも大きな違いは「重量」と「破損時の安全性」です。不燃シート製はガラスに比べて軽量なため取り回しがしやすく、破損しても飛散しないという特長があります。意匠性を重視する場合は、高透明タイプのシートを選ぶことで、ガラスに近い見た目を保つことも可能です。
不燃シート製防煙垂れ壁「ケムストップⅡ」は、災害時の安心・安全を追求した製品です。ここではその特徴を詳しくご紹介します。
▶ケムストップⅡの詳しい製品情報はこちら
ケムストップⅡは、しなやかなグラスファイバーを使用した国土交通大臣認定の不燃材料です。建築基準法で求められる「不燃材料で造る、または覆う」という防煙区画の構造要件を満たしながら、シートならではの柔軟性を備えています。
従来の網入りガラス製防煙垂れ壁と比べ、重量は約10分の1に抑えられています(テンションタイプの場合、製品仕様により異なります)。軽量なため、万が一落下した場合でも被害を最小限に抑えられます。
不燃シートは衝撃を加えても割れることがなく、ガラス片のような破片が発生しません。地震などで破損した場合でも、ガラス片の飛散による二次被害を抑えることが期待できます。
軽量であるため、施工時の取り扱いや作業負担を抑えやすいことが特長です。また、製品重量が小さいことで、取付部にかかる荷重を抑えやすいというメリットもあります。ただし、実際の取付方法や下地・躯体への影響は、設置場所や既存建物の条件によって異なるため、現地の状況を確認したうえで施工方法を検討する必要があります。
ケムストップⅡは新築だけでなく、既存施設のガラス製防煙垂れ壁の改修にも多く採用されています。ここでは改修におけるメリットと製品ラインナップをご紹介します。
軽量で取り回しがしやすいという特長から、既存建物への後付けやレイアウト変更にも柔軟に対応できます。営業中の施設でも改修を検討できますが、施工方法や工事時間、養生などについては、施設の利用状況や現場条件を踏まえて計画する必要があります。
ケムストップⅡには、設置場所の形状や求められる性能に応じて選べる3種類のフレームタイプが用意されています。改修前の現地調査で、既存の垂れ壁のサイズや納まりに合わせて最適なタイプを選定します。
下枠・中間枠をなくしたすっきりとしたデザインで、1シートで長尺の垂れ壁に対応できるのがテンション型です。継ぎ目が少なく、広い開口部の改修にも向いています
細いフレーム枠で1ユニットをパネル化したタイプです。フレームが目立ちにくいため、店舗やオフィスの開放感を損なわず、意匠性を重視したい改修に適しています。
強度を重視したフレーム枠で、L字型のコーナー部分にも対応できる高い汎用性を備えています。既存の垂れ壁が複雑な形状の場合の改修におすすめです。
防煙垂れ壁の改修は、単純に製品を入れ替えるだけでなく、法令や既存設備との整合性を確認しながら進める必要があります。ここでは改修前に確認しておきたいポイントを整理します。
既存の垂れ壁の高さ・幅・納まりを正確に採寸し、改修後の製品が設置スペースに問題なく収まるかを確認します。天井裏の下地や梁の位置なども事前に把握しておくと安心です。
建築基準法施行令第126条の3では、排煙設備について、防煙壁によって一定の面積ごとに区画することなどが定められています。排煙設備や防煙区画の適用については、建築物の用途・規模・構造などによって条件が異なるため、個別に確認する必要があります。 改修にあたっては、対象となる区画が現在どのような基準で設けられているかを確認しておきましょう。
▶防煙区画とは?壁の仕様や設置基準、緩和規定を徹底解説
改修方法によっては、既存の下地や取付金物をそのまま活用できる場合と、下地から見直しが必要な場合があります。現地調査を行い、既存躯体の状態を確認したうえで工法を検討することが重要です。
不燃材料としての認定内容を確認するとともに、防煙壁としての垂れ壁は、原則として天井面から50cm以上下方に突出させる必要があります。ただし、出入口など一定の条件では、戸の仕様等に応じて30cm以上とすることができる場合があるため、適用条件を確認することが重要です。
なお、法令の適用や緩和規定の適用可否については、建築物の用途や規模、既存の状況などによって判断が異なる場合があります。改修を計画する際は、必要に応じて所轄の特定行政庁や建築主事、消防機関等に事前に確認することをおすすめします。
Q
ガラス製の防煙垂れ壁を不燃シート製に交換できますか?
A
条件を満たせば交換可能です。設置場所の寸法や既存の下地状況、必要な防煙区画の条件などを確認したうえで、適合する製品を選定します。詳しくはお気軽にお問い合わせください。
Q
ケムストップⅡは既存施設に後付けできますか?
A
はい、既存建物への後付けにも対応しています。営業中の施設でも改修を検討できますが、施工方法や工事時間などについては、施設の利用状況や現場条件を踏まえて計画する必要があります。
Q
ケムストップⅡにはどのようなタイプがありますか?
A
長尺対応の「テンション型」、意匠性重視の「スリムパネル型」、強度やL字型対応を重視した「パワーパネル型」の3タイプをご用意しています。設置場所の形状や求める性能に合わせて選定します。
Q
防煙垂れ壁の改修前に現地調査は必要ですか?
A
はい、現地調査をおすすめしています。既存の垂れ壁のサイズや下地状況、防煙区画の条件を確認したうえで、最適な製品・工法をご提案します。
ガラス製防煙垂れ壁の破損・劣化や、地震時の落下リスクにお悩みの場合、不燃シート製への改修はひとつの有効な選択肢です。BXテンパルの「ケムストップⅡ」は、ガラスの約10分の1という軽量設計でありながら、国土交通大臣認定の不燃材料を使用し、割れない・飛散しないという安全性を備えています。既存施設への後付けにも対応しており、施設の形状に合わせて3タイプから選定が可能です。
なお、法令上の基準や緩和規定の適用は自治体によって異なる場合があるため、改修を検討される際は、現地調査とあわせて所轄の行政機関への事前確認もおすすめします。
防煙垂れ壁の改修をご検討であれば、お気軽にお問い合わせください。現場状況に合わせて、最適な改修プランをご提案いたします。