防煙垂れ壁とは?割れないシート製なら地震にも強くて安心です!

火災発生時に安全に避難できるよう、建物に設置すべき排煙設備のひとつが垂れ壁です。
このコラムでは、建築基準法における防煙垂れ壁の設置基準や、防煙垂れ壁の種類などについて詳しく解説します。
\防煙垂れ壁で安全を確保するポイント/
- POINT1
- 火災時の煙の拡散を防いで避難時間を確保!
- POINT2
- シート製垂れ壁なら地震時にも安心安全!
1.防煙垂れ壁とは?
防煙垂れ壁とは、建築基準法で定められた排煙設備の設置基準で必要になる防煙区画を構成する「防煙壁」のことで、火災時に発生する一酸化炭素や有毒ガスなどを含む煙の流動を妨げることで避難する時間を確保することができます。
2.建築基準法における防煙垂れ壁の設置基準
防煙垂れ壁にはその構造や高さなど、様々な設置基準があります。ここでは建築基準法における防煙垂れ壁の設置基準について解説します。
①構造
建築基準法における防煙垂れ壁の構造は以下のいずれかの条件を満たす必要があります。
・不燃材料で覆われている
不燃材料とは(建築基準法第2条第9号)
建築材料のうち、不燃性能(通常の火災時における火熱により燃焼しないことその他の政令で定める性能をいう。)に関して政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものをいう。
(引用元:e-Govポータルhttps://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000201)
不燃性能とは(建築基準法施行令第108条の2)
法第二条第九号の政令で定める性能及びその技術的基準は、建築材料に、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後二十分間次の各号(建築物の外部の仕上げに用いるものにあつては、第一号及び第二号)に掲げる要件を満たしていることとする。
一 燃焼しないものであること。
二 防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること。
三 避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること。
(引用元:e-Govポータルhttps://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338/20230526_504CO0000000393)
なお、建設省告示第1400号(国土交通省告示第1178号により改正)では不燃材料として下記のような材料が定められています。
・れんが
・瓦
・陶磁器質タイル
・繊維強化セメント板
・厚さが3㎜以上のガラス繊維混入セメント板
・厚さが5㎜以上の繊維混入ケイ酸カルシウム板
・鉄鋼
・アルミニウム
・金属板
・ガラス
・モルタル
・しっくい
・石
・厚さが12㎜以上のせっこうボード(ボード用原紙の厚さが0.6㎜以下)
・ロックウール
・グラスウール板
※参照:不燃材料を定める件(国土交通省)
②高さ
建築基準法において「防煙垂れ壁(防煙壁)」とみなされるには、原則500㎜の高さが必要です。ただし、下記のいずれかの構造をもつ不燃戸の上部は、高さが300㎜あれば、防煙垂れ壁とみなされます。
・煙感知器連動の不燃戸
③設置すべき場所
建築基準法では、煙の拡散を防ぐため排煙が必要な部分は「建築物をその床面積500㎡以内ごとに、防煙壁で区画すること」とあります。(建築基準法施行令第126条の3)
また、階段・エスカレーター・吹き抜けなどの下の階から上の階へ煙が流れる恐れのある部分についても防煙区画が必要となり、階段等とその他部分を防煙垂れ壁によって区画しなければなりません。
3.防煙垂れ壁の種類
防煙垂れ壁には可動式や固定式、ガラス製やシート製など様々な種類がございます。ここではそれぞれの特徴について解説します。
①可動式防煙垂れ壁
可動式防煙垂れ壁は、火災発生時に煙感知器と連動して自動的に防煙スクリーンや防煙パネルを降下させ、防煙区画を形成します。
可動式防煙垂れ壁を設置する際は、火災時に有効に作動することや、近くに手動の降下装置を付けるなどの設置基準を満たす必要があります。
通常時は見えなくすることができるので、デザイン性が気になる方や空間を広く見せたい方におすすめですが、メンテナンスに手間やコストがかかります。
②ガラス製防煙垂れ壁
ガラス製防煙垂れ壁は、その名の通り不燃材料であるガラスでできた防煙垂れ壁です。
昔は主流だったガラス製防煙垂れ壁は、透明性があるので空間の一体感を損なわず、高級感のある仕上がりになるのが特徴ですが、重量が重いため設置や撤去に手間がかかることや、地震発生時に落下してガラスが破損する危険性があります。
③不燃シート製防煙垂れ壁
不燃シート製防煙垂れ壁は、東日本大震災や熊本地震の際に従来のガラス製防煙垂れ壁による落下被害が多数発生したことで注目されるようになった、国土交通大臣認定の不燃材料でできたシート製の防煙垂れ壁です。
軽量で持ち運びがしやすいので施工が容易で、落下しても割れることがなく、飛散もしないため、地震時の安全性にも優れています。
4.不燃シート製防煙垂れ壁「ケムストップⅡ」の特徴
上記に挙げたようにいくつかの種類がある防煙垂れ壁ですが、BXテンパルでは火災時だけではなく地震時にも安心安全な不燃シート製防煙垂れ壁「ケムストップⅡ」をおすすめします。ここではその特徴について解説します。
①軽い
従来の網入りガラスと比べ重量は約10分の1に。※製品仕様による
軽量なので持ち運びも容易で、万が一落下した場合でも人体や商品への被害を最小限に抑えます。
②割れない
東日本大震災や熊本地震などの大規模地震で問題とされていたガラス製防煙垂れ壁による破損や落下によって怪我をする二次災害も、割れないシート製なら安心です。
③飛散しない
シート製なら万が一落下してもガラスのように破片が飛散することがないので、破片による怪我の恐れがなく、避難の際の足元の安全を守ります。
④簡単施工
軽量なので持ち運びや取り回しが容易で施工も簡単なので、新設はもちろんですが、既存建物への後付けやレイアウト変更などにも柔軟に対応ができます。
ガラス製垂れ壁とシート製垂れ壁の落下比較試験動画
5.ケムストップⅡの施工事例
不燃シート製防煙垂れ壁「ケムストップⅡ」の施工事例をご紹介します。
【BOOKOFFPLUS仙台南店様】
地震で既存のガラス製防煙垂れ壁が破損・落下し、商品等に傷が付き販売ができなくなってしまった。従業員とお客様の安全確保のためにシート製防煙垂れ壁を導入されました。
【ダイシン長町店様】
【某スーパーマーケット】
【BX113ビル】
6.まとめ
防煙垂れ壁は火災時の安全確保に欠かせない設備です。
防煙垂れ壁を選ぶ際には、建築基準法における設置基準やその役割を理解し、避難経路などを考慮した配置やデザイン、予算や長期的なメンテナンス方法などを総合的に考慮する必要があります。
施設に防煙垂れ壁の設置をご検討であれば、お気軽にお問い合わせください。BXテンパルでは現場状況に合わせ、お客様に最適な方法をご提案いたします。
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