「猛暑のなかでも来場されるお客様に、安全で快適にラウンドしていただきたい」「コースで働くキャディやスタッフの熱中症が心配」とお考えではありませんか。年々厳しさを増す夏の暑さは、いまやゴルフ場経営における大きなテーマのひとつになっています。
記録的な猛暑が常態化するなかで、来場者数や顧客満足度、さらには従業員の安全配慮義務といった経営の根幹に関わる課題が、暑さ対策と切り離せなくなってきました。ミストファンや送風機付きカートといった運用面の工夫はすでに多くの施設で取り入れられていますが、それだけでは対応しきれない場面があると感じている運営者様も少なくありません。
適切な「環境づくり」を組み合わせれば、プレーヤーが暑さを感じやすい場面をやわらげ、施設としての安全性とホスピタリティを両立することができます。なかでも、直射日光そのものを遮る日よけ設備は、運用対策を補完する有力な選択肢のひとつです。
本記事では、ゴルフ場特有の暑さの課題を整理したうえで、待ち時間の快適化や電源のないコース内への日よけ設備の導入について、数値や事例を交えながら運営者目線で解説します。設備投資をご検討の際の参考にしてください。
\ゴルフ場の暑さ対策のポイント/
近年の夏は、最高気温の上昇だけでなく猛暑日の長期化も進んでいます。屋外で長時間を過ごすゴルフ場にとって、暑さ対策はサービスの一環という段階を超え、経営上のリスク管理という側面を強めています。この章では、運営者様が押さえておきたい3つのリスクを整理します。
熱中症で救急搬送される人の数は、年々増加傾向にあります。東京消防庁管内では、2025年(令和7年)の搬送人員が9,125人と過去最多を更新しました。時間帯別では11時台から15時台がピークとされ、これはちょうどラウンドが進む時間と重なります。
炎天下での活動は、年齢や体調にかかわらず誰にとってもリスクとなります。施設としては、来場者とスタッフの双方を守る視点が欠かせません。
記録的な猛暑は、来場者数そのものにも影響します。ある業界調査では、猛暑の影響で来場者数が前年を下回る一方、70代以上のシニア層の比率はむしろ上昇したと報告されています。熱中症リスクが高いとされる年代の来場が増えることは、施設側にとって安全配慮の重要性が高まっていることを意味します。
(出典:egolf「記録的猛暑でゴルフ場来場者数はダウンだが…実は70代以上の来場者数がアップしていたワケ」)
「涼しく快適に過ごせるコース」という評価は、夏場の集客やリピーター獲得において強みになります。暑さ対策は、リスク管理であると同時に、顧客満足度を高める投資という見方もできます。
2025年6月に施行された改正労働安全衛生規則により、職場における熱中症対策が事業者の義務として明確化されました。キャディやコース管理スタッフなど屋外で働く従業員に対しては、暑さ指数(WBGT)の管理や、すぐに利用できる休憩場所の確保などが求められています。
(出典:日本気象協会 Weather X「2025年は『歴代最高の猛暑』—熱中症による救急搬送者数は10万人超、意識調査から見る企業の暑熱対策のポイント」)
なお、安全配慮義務の具体的な範囲や責任の判断は、現場の状況や個別の事案によって異なります。最新の運用については、所轄の労働基準監督署や専門家への確認をおすすめします。詳しい考え方は、関連記事もあわせてご覧ください。
▶ 屋外で働く人を守る対策については「屋外作業の熱中症対策とは?現場で働く人を守る改善策」をご覧ください
「対策はひととおり行っているはずなのに、暑さの不満が減らない」と感じる運営者様もいらっしゃるのではないでしょうか。その背景には、見落とされがちな「待ち時間」という場面があります。
プレーヤーが最も暑さとストレスを感じやすいのは、実はショットの瞬間ではなく、前の組を待つ待機の時間だと言われています。ティーグラウンドの待機所、マスター室前、カート乗車前のスタートホール周辺などは、日かげが少なく直射日光にさらされやすい場所です。
カート内に冷却機能があっても、乗り込むまでの待機中は無防備になりがちです。こうした「点在する無防備な時間」をどう減らすかが、体感的な快適さを左右します。
ミストファンやスポットクーラー、送風機付きカート、こまめな水分補給の呼びかけといった運用対策は、すでに多くの施設で活用されており、いずれも有効な手段です。一方で、これらは局所的・一時的に体を冷やす対策が中心となります。
待機場所そのものに日かげをつくり、直射日光を遮ることができれば、こうした運用対策の効果をより活かしやすくなります。両者は対立するものではなく、組み合わせることで快適性を高め合う関係にあります。
暑さ対策は、大きく「運用対策(ソフト面)」と「環境づくり(ハード面)」の2つに分けて考えると整理しやすくなります。この章では、両者の役割と、なぜ両立が重要なのかを解説します。
水分補給の声かけや休憩の徹底、暑さ指数の測定といった運用対策は、暑さ対策の基本であり欠かせません。ただし、これらは人の注意や手間に依存する面があり、広大なコース全域を常にカバーし続けるのは容易ではありません。
とくに無人になりがちなコース内の待機所では、声かけや機器の管理が行き届きにくく、運用だけでは限界を感じる場面も出てきます。
一方、日よけ設備による「環境づくり」は、直射日光そのものを遮ることで暑さの原因に働きかけます。日かげをつくることは、その場所の体感温度を下げるだけでなく、地面の温度上昇をやわらげる効果も期待できます。
運用対策で人と運用を支え、環境づくりで場の条件そのものを整える。この両輪で考えることが、これからのゴルフ場の暑さ対策の鍵になります。
▶ 施設全体の環境づくりの考え方は「保育園の熱中症対策は『環境づくり』が鍵|日よけ・遮熱の重要性とは」も参考になります
「日かげをつくるだけで、本当に体感温度は下がるのか」という声をいただくことがあります。この章では、日よけが暑さをやわらげる仕組みと、その効果を示す数値を紹介します。
夏の屋外で不快さを生む大きな要因のひとつが、輻射熱(地面や物体が太陽で温められ、そこから放射される熱)です。アスファルトのカート道や人工芝は日射で温められやすく、下からの強い照り返しとなって体感温度を押し上げます。
この照り返しを根本からやわらげるには、上部から直射日光を遮り、地面そのものが熱くなるのを防ぐことが効果的です。上に日よけを設けることは、下からの輻射熱対策にもつながります。
▶ 人工芝や地表面の温度については「スポーツ施設の日よけはなぜ大切?熱中症対策と日かげの効果」をご覧ください
当社の暑熱試験では、気温30℃の環境で日向と比較した場合、オーニングの下では体感温度の指標であるSET(標準新有効温度)が最大で約7℃低下し、熱中症予防の指標である暑さ指数(WBGT)が約2.2℃低下するという測定結果が得られています。
(出典:BXテンパル「夏の暑さ対策に効果的!体感温度を下げるオーニングの効果と活用方法」)
なお、これらは一定条件下での試験測定値であり、保証値ではありません。実際の効果は設置場所や気象条件によって異なります。
効果は屋外だけにとどまりません。レストランやロビーの窓の外側に日よけを設けて熱を遮ると、室内に入る熱を大きく減らすことができます。夏に室内へ侵入する熱の多くは窓から入るとされ、窓の「外側」で遮ることが効果的です。
ある研究報告では、室内ブラインドを使用した場合の冷房稼働率を74%とすると、窓の外で熱を遮るオーニングでは33%まで抑えられたとされています。日射を遮る指標(SC値)も、室内ブラインドが約0.5であるのに対し、外部の日よけは0.06と小さく、遮熱性能の高さを示しています。
(出典:BXテンパル「窓の暑さ対策にはオーニングが効果的|外部遮熱で夏も快適」)
光熱費が高騰するなか、冷房効率の改善はランニングコストの削減に直結します。日よけ設備は見た目の装飾ではなく、省エネにも寄与する実用的な環境改善設備という見方ができます。
「コース内に日よけを設けたいが、電源も建物の壁もない」という悩みは、ゴルフ場ならではの課題です。この章では、設置場所に応じた日よけ設備の選択肢と、運営者様から寄せられることの多い疑問を整理します。
クラブハウスやレストランの窓まわりには、外部遮熱に優れたオーニングが適しています。冷房効率の改善と、窓際席の快適化を両立しやすい場所です。当社では「ニュースーパーマキシム」などの製品がこの用途に対応しています。
建物の壁面がない練習グリーン脇やアプローチ通路には、1本の支柱から両側へキャンバスが張り出す独立型の日よけ(ダブルバーネなど)が有効です。何もない空間に広い日かげを新たにつくり、待機・休憩スペースとして活用できます。
テラスやコース途中の休憩所には、パーゴラ風のデザインを持つ独立型オーニング(ソラカゼioriなど)が、リゾート感を損なわずに快適な半屋外空間をつくります。仮設テントには設営の手軽さという利点があり、用途に応じて常設の日よけと使い分けるのが現実的です。
従来、コース内の待機所を電動化するには、クラブハウスから長い距離の地中配線工事が必要とされ、コストや工期、景観への影響が導入のハードルになっていました。
近年は、ソーラーパネルとバッテリーで動く独立電源ユニット(SolEle/ソルエレ など)を組み合わせることで、外部からの配線工事を伴わずに後付けで電動化できる方法が登場しています。電源インフラのない場所でも、リモコンで開閉できる日よけを設置しやすくなりました。
独立電源ユニット(SolEle など)を搭載した製品であれば、ソーラーパネルで発電・蓄電してモーターを動かすため、外部からの配線工事を行わずに後付けで電動化できる場合があります。設置には条件があるため、現場の状況に合わせて専門スタッフがご確認いたします。
風力・陽光センサーを備えた製品では、一定以上の風速を感知した際にキャンバスを自動で収納する安全機能が搭載されています。無人になりがちなコース内でも破損リスクを抑えやすくなりますが、対応できる風速や条件は製品や設置環境によって異なるため、事前のご相談をおすすめします。
不特定多数の方が出入りする商業施設では、消防法により防炎物品の使用が求められる場合があります。市販品は防炎の基準を満たさないことや、強風への強度設計が十分でないことがあるため、用途や設置場所に応じた製品の選定が望ましいとされています。
(出典:日本防炎協会(JFRA)「防炎物品の種類と防炎規制の対象となる防火対象物」)
国や自治体の補助金・助成金が活用できるケースがあります。ただし、制度の内容や対象は年度や自治体によって異なり、変動します。最新の情報は自治体の窓口や専門業者にご確認ください。
記録的な猛暑が続くなか、ゴルフ場の暑さ対策は、来場者の安全とホスピタリティ、従業員への安全配慮、そして光熱費を含む経営の効率まで、幅広い課題と結びついています。
ミストや送風カートといった運用対策に、直射日光を遮る「環境づくり」を組み合わせることで、プレーヤーが暑さを感じやすい待ち時間をやわらげ、施設全体の快適性を高めることができます。日よけ設備は体感温度の低減や冷房効率の改善といった実用的な効果が期待でき、独立電源を用いれば電源のないコース内にも後付けで設置できる選択肢が広がっています。
ゴルフ場の立地やコースの状況によって、最適な日よけの種類や設置方法は異なります。BXテンパルでは、施設の条件に合わせた暑さ対策をご提案いたしますので、導入を検討される際は、お気軽にお問い合わせください。