「真夏のグラウンドで、選手や子どもたちが安全に活動できる環境を整えたい」「観戦に来てくださる保護者の方にも、できるだけ快適に過ごしてほしい」とお考えのスポーツ施設のご担当者様は多いのではないでしょうか。
近年は猛暑日が増え、屋外スポーツの現場では、暑さ指数(WBGT)に応じた運動の見合わせや、こまめな給水・休憩の確保がこれまで以上に重視されるようになっています。こうしたなか、施設としてあらかじめ「日かげの環境」を整えておくことの意義が、改めて見直されてきています。
本記事では、スポーツ施設・グラウンドにおいて日よけが大切とされる背景や、熱中症が起こりやすい場面、日かげがもたらす体感温度・WBGTへの効果、そして競技団体のガイドラインで触れられている日かげの考え方について、読み物としてやさしくご紹介します。
\保育園の屋上に日よけを設けるときのポイント/
目次
スポーツ施設やグラウンドにおける熱中症対策というと、これまでは「水分補給」「クーリングブレイク」「体調観察」など、現場の運用面での工夫が中心だったのではないでしょうか。もちろんこうした取り組みは引き続き大切ですが、近年はそれと合わせて、施設そのものの「環境づくり」にも目が向けられるようになっています。
気象庁や環境省の発表によると、全国で猛暑日(最高気温35℃以上)の年間日数は長期的に増加傾向にあるとされています。2024年からは「熱中症特別警戒アラート」の運用も始まり、屋外活動の判断材料がより細やかになりました。
こうしたなかで、施設管理のご担当者様の関心も、「個人の頑張りだけに頼らない、施設としてできる工夫」へと少しずつ広がっているように感じます。
環境省「まちなかの暑さ対策ガイドライン」では、屋外空間の暑熱対策を「うえ(日射の遮蔽)」「まんなか(気化熱・送風)」「した(地表面の温度抑制)」の3層に整理し、それぞれを組み合わせることが望ましいとされています。
なかでも基盤となるのが「うえ」、すなわち日射を遮ることです。日かげをつくることで、ミストや芝生化など、ほかの対策の効果もより活きてきます。
(出典:環境省「まちなかの暑さ対策ガイドライン_令和4年度部分改訂版」)
▶ 暑さ指数(WBGT)とは?意味・危険度・早見表をわかりやすく解説
スポーツ施設では、競技中以外にも熱中症が気になる場面がいくつかあります。施設全体を見渡して、暑さの影響を受けやすい場所を整理しておくと、対策の優先順位を考える際の手がかりになります。
サッカー、野球、陸上、ラグビーなど、長時間の屋外運動が行われるグラウンドでは、選手だけでなく、ベンチに控える選手、コーチ、審判員、運営スタッフ、観戦の保護者の方まで、幅広い方が暑さの影響を受けます。日本スポーツ協会の指針では、WBGTが28を超えると熱中症の発生リスクが高まり、31以上では運動を原則中止することが望ましいとされています。
(出典:公益財団法人日本スポーツ協会「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」)
人工芝のグラウンドは、天然芝に比べて表面温度が高くなる傾向があるといわれています。夏場には地表からの輻射熱(地面や周囲の物体から放射される熱)の影響でWBGTの実測値も押し上げられやすく、上から日射を遮るシェードの役割が一段と意識されるようになっています。
「水のなかにいるから涼しい」と思われがちなプールでも、プールサイドのコンクリートからの照り返しや、監視員・指導員の方が長時間日射にさらされることで、熱中症のリスクが意識される場面があります。プール周辺の休憩エリアや監視台に日かげをつくることは、見落とされやすいけれど大切な工夫の一つです。
(出典:独立行政法人日本スポーツ振興センター「学校屋外プールにおける熱中症対策」)
競技中の選手だけでなく、観戦に来られる保護者やお客様、送迎で待たれる方々の快適性も、施設運営においては大切な視点です。観客席や送迎の待機列、駐車場から施設までの動線に日かげがあると、お子さまやご高齢の方にも安心して過ごしていただきやすくなります。
イベントや大会のたびに仮設テントを設営する運用は、必要なときに必要な分だけ日かげをつくれるという柔軟さがあり、多くの施設で活用されています。一方で、夏場の利用頻度が増えてきた施設では、設営や撤去にかかる手間や、毎回のレンタル費の積み重ねが気になる、という声を聞くことも増えてきました。
そうした背景から、近年は仮設テントに加えて、常設タイプの大型サンシェードを選択肢に入れて検討されるケースが少しずつ広がっています。施設の使い方や予算、景観に合わせて、仮設と常設をうまく組み合わせていく考え方が現実的かもしれません。
▶ 屋外イベントの熱中症対策は新発想へ。常設シェードという選択肢
「日かげをつくると、実際にどのくらい涼しく感じられるのか」という点は、対策を検討する際の素朴な疑問ではないでしょうか。ここでは、公的機関のデータと当社の暑熱試験の結果を、合わせてご紹介します。
真夏の日中、アスファルトの上を歩いていて、思わず木かげを探した経験は誰しもあるのではないでしょうか。気温が同じでも、日射や地面からの輻射熱の有無によって、人が感じる暑さ(体感温度)は大きく変わります。日かげをつくる工夫は、この「体感温度」を整えるための分かりやすい一手といえます。
環境省「まちなかの暑さ対策ガイドライン」では、日除けによって直射日光を遮ると、体感温度(SET*)が低下し、暑さ指数(WBGT)にも一定の低減効果が見込まれるとされています。
BXテンパルでも、埼玉県桶川市の試験場でオーニングを用いた暑熱試験を行い、日なたと比べてオーニングの下では体感温度が7℃、暑さ指数(WBGT)が約2.2℃低下するという結果が確認されています。
(出典:夏の暑さ対策に効果的!体感温度を下げるオーニングの効果と活用方法(BXテンパル))
日かげを基盤としつつ、微細ミスト(霧状の細かい水滴を噴霧する装置)や送風機などを組み合わせると、気化熱の効果でさらに体感温度を下げやすくなります。施設の利用シーンに合わせて、複数の手段を上手に組み合わせていくことが大切です。
高機能なメッシュシートを用いた大型サンシェードのなかには、紫外線をしっかりカットする性能を備えたものもあります。屋外で長時間活動するお子さまやスタッフの方の日焼け対策としても、日かげづくりは役立ちます。
競技団体のガイドラインでも、暑い時期のプレーや運営に関して、「日かげでの休息」が重視されています。ここでは、参考となる公開資料の概要を、読み物として簡単にご紹介します。
公益財団法人日本サッカー協会(JFA)の熱中症対策ガイドラインでは、暑さ指数が高い試合において、前後半それぞれに「クーリングブレイク」と呼ばれる休息時間を設けることが推奨されています。休息中は、選手やスタッフの皆さんが日かげで水分補給や体温調整を行えるよう、ベンチ周辺の日かげを確保することが大切とされています。
(出典:公益財団法人日本サッカー協会(JFA)「暑熱対策・水分補給」)
日本スポーツ協会の「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」では、WBGTの値に応じた運動の目安や、休憩の取り方が示されています。日かげのある休憩スペースを整えておくことは、こうした指針に沿って運営を行う際の前提条件としても意識されつつあります。
ガイドラインは、あくまで運営を考えるうえでの「目安」です。実際の判断は、当日の気象条件、参加者の年齢や体調、競技の種類などによって変わってきます。日かげの整備は、こうした現場判断を支える土台の一つとして位置づけて検討すると分かりやすいかもしれません。
スポーツ施設・グラウンドにおける熱中症対策は、運用ルールや個人の注意だけでなく、施設としての「環境づくり」も合わせて考えていくことが大切です。日かげをつくる工夫は、体感温度やWBGTを和らげ、競技や観戦、子どもたちの遊びの時間を、より安心して楽しめる空間に整えてくれます。
とはいえ、施設ごとに使い方も予算も異なります。仮設テントと常設シェードのどちらが合うか、どの場所に優先的に日かげをつくるかなどは、現場の状況を踏まえて少しずつ検討していくテーマです。
BXテンパルでは、教育施設・公共施設・スポーツ施設向けの大型サンシェードや、デザイン性のあるパルセイル、ソラカゼ ioriなど、用途や景観に合わせた複数のソリューションをご提案しています。
スポーツ施設の日よけや暑さ対策についてご検討の際は、施設の条件に合わせた選び方を一緒に整理いたしますので、お気軽にお問い合わせください。