工場でできる効果的な熱中症対策とは？義務化や事例、対策方法を解説

 

１．工場における熱中症対策の必要性

工場内は窓が少なく風通しが悪いため、熱がこもりやすい環境にあることが多く、機械等から発せられる熱や換気の不十分さが重なると、非常に過酷な作業環境となります。特に以下の要因が、熱中症のリスクを高めます。

熱中症を放置することは、最悪の場合、命の危険を伴うだけでなく、企業の社会的責任を問われることにもつながります。さらに、休業や人手不足が生じることで、生産性の低下や納期遅延といった問題が発生し、経営にも悪影響を及ぼすことになります。
参考：厚生労働省「令和５年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況（確定値）」

 

２．工場内が暑くなる原因

工場内が暑くなる原因には、主に以下の３つがあります。

屋根や外壁からの熱の侵入

金属製の屋根や外壁が直射日光を受けることで、工場内に熱が伝わり、室温が上昇します。特に夏の暑い時期は、建物全体が「巨大な熱源」と化すこともあります。

機械設備からの放熱

工場に設置されている機械が稼働することによって発せられる熱は、室温をさらに高める原因となります。

搬入口や出入口からの冷気流出

搬出入作業が多い場合や、出入口が頻繁に開閉される場合、冷気が外に逃げ、外部からの熱が侵入するため、室温が急激に上昇することがあります。

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３．熱中症対策の義務化とは？

2025年6月1日より、厚生労働省によって事業者への熱中症対策が罰則付きで義務化されます。
対象は、「WBGT28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間以上の実施」が見込まれる作業です。義務付けられる主な対策は次の3点です。

報告体制の整備

異常があった際に速やかに報告・対応できる体制を構築する必要があります。温湿度の定期測定、従業員の体調チェック、発症時の対応マニュアルなどを整備しましょう。

実施手順の作成

「水分補給の徹底」「休憩時間の設定」「WBGT指数に基づいた作業制限」など、具体的な対策を明文化し、日常業務に取り組む必要があります。

関係労働者への周知

策定した対策を全従業員に周知するため、ポスター掲示や研修を行い、全員が共通の認識を持てるようにします。

参考：厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」
 

４．効果的な熱中症対策の方法

熱中症対策には、大きく分けて「施設設備の改善」と「個人でできる対策」があります。この2つを現場状況に合わせてバランスよく取り入れることで、より効果的な対策が可能です。

施設設備の改善

工場内の環境改善を行うことで、熱中症リスクを低減させることができます。

・換気・排熱設備の強化

工場内の換気を改善し、熱気を効率的に排出することで、作業環境を快適に保つことができます。

・遮熱材や断熱材の利用

屋根や壁に遮熱材や断熱材を取り入れることで、工場内の温度が上がるのを防ぎ、エネルギー効率の向上にもつながります。

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・スポットクーラー、大型扇風機等の活用

工場全体を冷却するのが難しい場合、スポットクーラーや大型扇風機を活用して、作業エリアごとに冷却を行うことが効果的です。

・間仕切りの活用

冷気の流出を防ぐためには、作業エリアを明確に分ける間仕切りの導入が効果的です。特に冷房エリアと非冷房エリアが混在している場合は、間仕切りによってそれぞれのエリアに最適な温度管理が可能になります。

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個人でできる対策

工場の熱中症対策には、工場の作業環境の整備以外にも、個人でできる熱中症対策を行うことが大切です。熱中症を予防する対策を覚えておくだけで、熱中症リスクを軽減することができます。

・こまめな水分補給と塩分補給

熱中症予防において最も基本となるのが水分と塩分の補給です。喉が渇く前にこまめに水分を摂取することや、塩飴等で体内の塩分を補うことが重要です。

・空調服、冷却グッズの活用

ファン付きの作業服や冷却スカーフ、冷感インナーなどのアイテムを活用することで、体温上昇を防ぎ、快適な作業環境を保つことができます。

・健康管理と日々の体調チェック

体調不良は熱中症を引き起こしやすくなります。十分な睡眠やバランスの良い食事、過度な飲酒を控えるなど規則正しい生活を心掛けることが大切です。特に、高齢者や持病を持つ従業員にはより一層の配慮が求められます。作業中の水分補給や休憩スペースの確保等、少しでも体調に異常を感じた従業員が休める環境づくりも重要になります。
 

５．工場内における熱中症対策の事例紹介

【A鋼材 株式会社 様】
外部より倉庫内の方が暑く、加工機材が高温により稼働停止になっていたそうです。その中で作業をする作業員の負担軽減のために遮熱シート「はるクール」を採用いただき、折板屋根に施工しました。導入後は、外より涼しく感じられ、作業員の負担が軽減されたそうです。また、加工機材の停止時間も短縮され業務効率の改善にもつながったようです。


【S陸運 株式会社 様】
食品関連の物流倉庫に遮熱シート「はるクール」を採用いただきました。既存の大型のシーリングファンや扇風機などの設備に追加での施工になりました。施工後の効果を高く評価していただき、他所の物流センターへの導入も検討されています。


【株式会社 HT 様】
プレス工場の熱中症対策、作業環境改善のために採用いただきました。遮熱塗料での対策を検討されていましたが、施工後にメンテナンスの必要がなく、ランニングコスト面で優れる遮熱シート「はるクール」が採用されました。


 

６．まとめ

工場内での熱中症対策は、もはや「やらなければならないこと」であり、企業の社会的責任として適切な対策が求められています。2025年6月からの義務化を見据え、実効性のある対策を進めることが企業の安定経営にもつながります。

紹介した対策方法や事例を参考に、自社の環境に最適な方法を取り入れることで、長期的な生産性向上に寄与できます。熱中症対策を含め、工場の環境整備にお悩みの方は、ぜひご相談ください。

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