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【続報】神戸市と進める公道の日よけ、市内7か所で稼働開始

【続報】神戸市と進める公道の日よけ、市内7か所で稼働開始

「歩道や公園に日かげをつくりたいが、電源も置き場所もない」
「強風のたびに職員が収納にまわるのは現実的ではない」といったお悩みを、自治体やまちづくりの担当者様からいただくことがあります。

当社BXテンパルは、神戸市が主導する共同研究に参画し、公道上の可動式日よけ「神戸版スマートシェード」の技術実証に取り組んできました。2025年の実証の様子は以前のコラムでご紹介しています。その後、2026年6月11日の神戸市長定例会見で「高温常態化対策」の施策の一つとして発表され、この夏、市内7か所で実機が稼働を始めています。

公道という条件の厳しい場所でも、設計と電源の工夫を重ねれば、人手に頼らず安全に開閉する日よけを設置することができます。

本記事では続報として、会見での発表から実機設置に至る経緯、一本柱仕様やソーラー電源といった公道向けの工夫、報道で寄せられた質問への回答、そして他の自治体への広がりまでをまとめてご紹介します。

\神戸版スマートシェード続報のポイント/

POINT1
神戸市内7か所に可動式の日よけが設置され稼働中
POINT2
一本柱とソーラー電源で公道への設置課題に対応

1.神戸市の「高温常態化対策」に位置づけられた神戸版スマートシェード


はじめに、これまでの経緯を簡単に振り返ります。この取り組みは、神戸市が市中心部の「街路樹を植えにくい場所にどう日かげをつくるか」という課題に対して進めてきた共同研究に、当社が参画する形で始まりました。

①2年間の技術実証で見えた課題

第一弾となる2024年夏の実証では、神戸市の計画のもと、手動で開閉するタイプの日よけを公道上に設置しました。日かげをつくる効果は確認できた一方で、台風などの強風時に人手で収納・復旧する負担が大きいこと、太陽の動きにつれて日かげの位置がずれてしまうことが課題として浮かび上がりました。

これを受けて2025年9月には、神戸市役所南側の東遊園地付近に、6m×4mの大型オーニングを使った2代目の実証機を設置しました。遠隔操作や風力・陽光センサーによる自動制御、動作時に音声で注意を促す機構などを実装し、「安全に、人手をかけずに運用できるか」を検証してきました。

▶神戸市共同研究の技術実証(2025年)についてはこちら

②市長定例会見で「まちなかの温度を下げる」施策として発表

2026年6月11日の神戸市長定例会見では、「まちなかの温度を下げる〜高温常態化対策の強化〜」と題した施策が発表され、その一つとして神戸版スマートシェードの設置が紹介されました。神戸市は、暑さ対策には日射を遮って影をつくることが最も有効だとしたうえで、樹木による木陰づくりと並行して、樹木を植えられない区域に人工の日よけを導入する方針を示しています。

出典:神戸市「高温常態化対策としてスマートシェードを設置します!」

会見の様子は動画でも公開されています。神戸市が主導し、当社が参画してきた共同研究の成果が、市の暑さ対策の柱の一つとして位置づけられたことは、当社にとっても大きな節目となりました。

出典:神戸市長定例会見(2026年6月11日)まちなかの温度を下げる~高温常態化対策の強化~

2.2026年夏、市内7か所で実機が稼働を始めました

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会見での発表を受け、2026年7月から市内での設置が順次進みました。7月に5か所、9月に2か所が加わり、現在は市内7か所で神戸版スマートシェードが稼働しています。

①設置場所は歩道の交差点付近と公園

設置場所は、信号待ちで人が立ち止まる交差点付近の歩道や、休憩する人の多い公園など、日中に人が滞留しやすい場所が選ばれています。トアロード北西側や北野坂入口といった中心市街地の歩道、磯上公園や妙法寺川左岸公園といった公園がその例です。

実際の設置箇所では、信号待ちの歩行者が生地の下に自然と集まる様子や、公園のベンチまわりで日かげを利用する様子が見られています。日かげができるだけで、人の動き方が変わることを改めて感じさせる光景です。

②実証機との違いは「量産を見据えた仕様」

今回設置された機体は、2025年の実証機で得た知見をもとに、複数箇所への展開を前提に仕様を見直したものです。オーニング本体は当社の大型オーニング「ニュースーパーマキシム スタンダードタイプ」をベースとし、間口約3m・出幅約2mのオーニングを組み合わせた構成です。設置にあたっては、日中の太陽の軌道を考慮して生地を張り出す向きと柱の位置を決め、人が滞留する時間帯に日かげが歩道やベンチにかかるよう計画しています。

次章からは、この機体に盛り込んだ公道向けの工夫を、「基礎・構造」と「電源・制御」の2つの観点からご紹介します。

3.公道に設置するための工夫①:一本柱仕様で掘削範囲を最小化

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公道への設置で最初に直面するのが、「地面の下に何が埋まっているか」という問題です。歩道の下には水道・ガス・電気・通信といった配管や埋設物が集まっており、基礎を大きく掘ることがそもそもできない場所が少なくありません。

①門型2本柱から一本柱へ

2025年の実証機は、2本の柱で梁を支える門型の構造でした。安定性には優れる一方で、柱ごとに基礎が必要となるため、掘削範囲が広くなり、埋設物と干渉しやすいという課題がありました。

そこで今回の機体では、1本の柱でオーニングを支える「一本柱仕様」を採用しました。基礎を1か所に集約することで掘削範囲を小さく抑え、配管との干渉を避けやすくしています。柱の位置を歩行者の動線から外しやすくなり、歩道の通行幅を確保しやすい点も利点です。

②構造計算で安全性を確認

柱を1本にすると、風や生地の重さによる力が1本の柱と基礎に集中します。そのため、想定される風荷重に対して柱・基礎が十分な余裕をもつことを構造計算で確認し、安全側の寸法で設計しています。

こうした設計は、当社の設計課と開発課、そして施工を担う協力会社が連携して進めました。設置条件は場所ごとに異なるため、実際の計画では現地の埋設物調査と道路管理者との協議を踏まえて基礎形状を決めていくことが欠かせません。

▶公共空間の暑さ対策と可動式日よけについてはこちら

4.公道に設置するための工夫②:電源のない場所で自動開閉するソーラー電源


もう一つの壁が電源です。歩道や公園には電源がない場所が多く、電動の日よけを動かすために受電設備や配線工事が必要になると、費用と工期が大きく膨らんでしまいます。

①ソーラーバッテリーユニット「ソルエレ」で配線工事が不要に

今回の機体には、当社のオーニング専用ソーラーバッテリーユニット「ソルエレ」を搭載しています。太陽光パネルで発電した電気をバッテリーに蓄え、その電力でモーターとセンサーを動かすため、商用電源につなぐ配線工事が不要です。電源のない歩道や公園にも設置しやすく、停電時にも稼働できることから、防災の観点でも関心を寄せていただいています。万一の故障時には手動で収納できる機構も備えています。

発電量を確保するうえでは、パネルの向きと設置位置が重要になります。公道上では建物の影や街路樹の影響を受けやすいため、現地の日照条件を確認したうえでパネルの位置を決めています。

▶ソルエレのソーラーパネル設置場所についてはこちら
▶ソルエレの製品情報についてはこちら

②陽光センサーで自動開閉、風力センサーで自動収納

会見では報道各社から、「25,000luxや風速10m/sという数値はどのような環境を想定しているのか」という質問が寄せられました。これは機体に搭載した2つのセンサーの設定値です。

陽光センサーは、周囲の明るさが約25,000luxに達すると生地を開き、暗くなると自動で収納します。25,000luxは、日ざしが出てきて「日よけが欲しい」と感じる屋外の明るさに相当する設定です。朝日を浴びると自然に日よけが開き、曇天や日暮れには自動で収納されるため、誰かが操作する必要がありません。日かげが必要なときだけ開くことは、生地の傷みを抑え、冬に日だまりを残すうえでも役立ちます。

風力センサーは、風速10m/s以上を感知すると自動で生地を収納します。気象庁の区分では、平均風速10〜15m/sは「やや強い風」にあたり、風に向かって歩きにくくなり、傘がさせなくなる程度の強さとされています。台風の接近時に職員が現地へ収納にまわる必要がなく、設置数が増えても運用の負担が変わりません。「開閉はセンサーに任せて簡便に、強風時は自動収納で安全に」という運用が、公共空間向けの日よけとして大切なところだと考えています。

出典:気象庁「風の強さと吹き方」

5.報道で寄せられた関心と、よくいただくご質問

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会見以降、神戸版スマートシェードは新聞・テレビ・ラジオなど多くのメディアで取り上げられ、まちなかの暑さ対策への関心の高さがうかがえます。ここでは、報道や自治体の方からよくいただくご質問への考え方をまとめます。

会見で寄せられた質問への考え方

Q. 設置場所はどのように選ばれているのですか?

設置場所は神戸市が選定しています。街路樹を植えられない区域で、信号待ちや休憩などで人が立ち止まる場所が優先されていると理解していますが、選定基準の詳細は市の公表資料をご確認ください。当社は、選ばれた場所ごとに埋設物や日照条件を確認し、設置の可否と仕様をご提案する立場です。

Q. 1基でどの程度の日かげができますか?

今回の機体では、生地を全開にしたときの生地面積が約12m²です。ただし、実際に地面にできる日かげは太陽の高さや向きによって位置と大きさが変わります。設置場所の緯度や周囲の建物によっても異なるため、計画の際は時間帯ごとの日かげの動きを図面上で確認することをおすすめします。

Q. 設置費用はどのくらいかかりますか?

費用は、基礎の形状、埋設物の状況、電源方式、設置台数によって大きく変わるため、一律にお答えすることはできません。神戸市の事業としての費用は市の公表資料をご参照いただき、ほかの場所での導入をご検討の場合は、現地条件をお聞きしたうえで個別にお見積りいたします。まずはご相談ください。

6.他の自治体への広がりと、これから

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報道をきっかけに、神戸市以外の複数の自治体からも当社にお問い合わせをいただいています。「駅前広場に日かげをつくりたい」「公園の休憩スペースに電源がない」といったご相談は、神戸市が直面した課題と共通するものが多く、一本柱仕様とソーラー電源の組み合わせが一つの答えになると考えています。

①「暑さ対策の日よけ」を選択肢の一つに

まちなかの暑さ対策には、街路樹による緑陰、東屋やパーゴラなどの固定式の日よけ、ミストや遮熱性舗装など、さまざまな手法があります。可動式の日よけはそのなかの一つの選択肢であり、樹木を植えられない場所や、冬には日だまりを残したい場所で力を発揮します。それぞれの手法の使い分けについては、前回のコラムで整理していますので、あわせてご覧ください。

②今後の検証と改良

神戸市内の7か所では、稼働状況の確認や利用者の様子の観察を続けています。当社の埼玉工場R&Dセンターで行った実測では、直射日光下の路面と日かげの路面とで、表面温度に12.9〜21.4℃の差が確認されています。まちなかでの効果を数値で確かめる検証はこれからの段階で、得られた結果は今後の改良に反映していく予定です。

共同研究で培った知見は、神戸市以外の場所でも活かすことができます。歩道・公園・駅前広場など、公共空間への日よけをご検討の際は、計画の初期段階からお気軽にご相談ください。

7.まとめ:まちなかの日かげは「公民連携で一歩ずつ」


神戸市が主導し、当社が参画してきた神戸版スマートシェードの取り組みは、2024年の第一弾実証から2年を経て、市内7か所での稼働という形になりました。手動の日よけで見えた「人手」と「日かげの位置」の課題に、自動制御とセンサーで応え、公道ならではの「埋設物」と「電源」の壁に、一本柱仕様とソーラー電源で向き合ってきた歩みです。

日かげをつくることが暑さ対策の基本であることは、神戸市の施策でも明確に示されています。一方で、公共空間への設置には場所ごとの条件があり、道路管理者や関係部署との協議を重ねながら進めることが欠かせません。神戸市の事例のように、公民が連携して実証と改良を積み重ねる進め方が、これからの暑さ対策の一つのモデルになるのではないでしょうか。

当社BXテンパルは、日よけ製品の専門メーカーとして、公共空間の日かげづくりをお手伝いしています。「暑さ対策のことはテンパルに相談」を合言葉に、自治体・設計事務所・まちづくり団体の皆さまからのご相談に専門スタッフが対応いたしますので、お気軽にお問い合わせください。

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